選出対象 2024年7月22日の時点で小学3年生から小学6年生(中1年生の早生まれも含む)の男女
日本各地で開催されるキャンプの全参加選手の中から、「FCバルセロナの価値観を実践できているか?FCバルセロナの戦術を理解し、周囲の状況を把握しながらテクニックを発揮しているか?」などを選考基準とし、全国から遠征メンバーを選出。ハイレベルな選手が揃うことで日本国内キャンプよりもさらに踏み込んだ内容になり、これまで学んできたFCバルセロナのプレーコンセプトをより深く理解することが可能な遠征プログラムです。
全キャンプ参加者に対して、キャンプ開催時のレベルにもよりますが、おおよそ10%程度の選出率です。
■カンプ・ノウ エクスペリエンス&ミュージアム
■FCBメガストア
■サグラダ・ファミリア
■FCバルセロナ クリニック
■練習試合
■散歩と軽い運動
■カンプ・ノウでの試合観戦
■スーパーマーケットでお買い物
■戦術講座
■ワンデイカップ
■スペイン料理
現地バルセロナコーチによるクリニックを全4回実施予定。FCバルセロナのトップチームも使用するトレーニング施設「ジョアン・ガンペール」を中心にバルセロナ市内のトレーニング施設で行われます。1回ごとのトレーニングにはテーマが設定され、遠征の最後に行われるトーナメントに向け、個人のレベルアップ、グループとしての戦術強化、チームワークの向上を目指します。
トレーニングで学んだ内容が実際に試合でどのように活かされるのか?映像など交えながらFCバルセロナの哲学、ジュニア世代で実践されているシステムや戦術、各ポジションの役割や動き方、バルサのサッカーをプレーするために必要な原理原則を学べる戦術講座を遠征期間中にスペイン人コーチが実施します。
現地バルセロナの街クラブとのトレーニングマッチを2試合実施します。スペインでプレーしている同世代の選手達は、どのようなレベルで、どのようなサッカーをするのか?また国内キャンプとバルセロナでのクリニックを通して、自分自身がどれだけ成長したのか?海外でも通用する自分のストロングポイント、世界と闘うために必要な課題など、肌で感じることができるでしょう。
※天候やクラブ事情によりトーナメントが開催できなかった場合は、トレーニングマッチなどの別のアクティビティに変更となる可能性もあります。
※試合日程は約2週間前に確定・公表されます。開催日時によっては観戦ができなくなる可能性もあります。
※天候やクラブ事情により別のアクティビティに変更となる可能性もあります。
2020年2月16日(日曜日)から2月25日(火曜日)までの10日間、現地バルセロナに遠征するバルサアカデミーエリートプログラムを実施しました。今回のメンバーは、2019年のサマーキャンプ(西ブロック)に参加した選手のうち、主に小学3年生から5年生の選手55名です。この10日間の遠征に帯同したスタッフが、選手たちがどのように学んだかを以下にレポートします。
関西国際空港に集合した選手たちは、これから始まる挑戦に心を躍らせていました。「早くバルセロナに到着したい!」「トレーニングが待ちきれない!」など、さまざまな会話が飛び交います。
今回はエミレーツ航空を使うグループとカタール航空を使うグループに分かれました。それぞれドバイ国際空港とドーハ国際空港を経由して、約20~22時間でバルセロナ=エル・プラット国際空港に到着しています(乗り継ぎ時間含む)。
いつも過ごす日本とはまったく異なる雰囲気に最初こそ戸惑いを見せていた選手たちですが、すぐに知っているスペイン語「オラ!(こんにちは)」「コモエスタス?(調子はどう?)」「ビエン(元気だよ)」を使い、現地の人々と積極的にコミュニケーションをはかっていました。
その後滞在先のホテルにチェックイン。まずオリエンテーションでホテル内でのルールや遠征での過ごし方の説明を聞いたあと、近くのビーチやスーパーマーケットなどを見学して1日を終えました。
前日は移動疲れで早く就寝していたので、選手たちは元気に飛び起きました。8時に朝食をとったあと、10時からビーチでチームアクティビティが始まります。ここでは体を動かしながらコンディションを調整し、またチームメイトとのコミュニケーションをはかりました。
12時30分に昼食をとったあと、15時からいよいよクリニックが始まります。第1回目のテーマは「スペースを作ること、使うこと」でした。最初は緊張していた選手たちも、時間の経過と共にその表情が明るくなります。
17時30分からは地元クラブとのトレーニングマッチ。遠征初めての実戦だったのでシステムやポジショニングにぎこちなさはありましたが、声を掛けてカバーしあうことで積極的に対応しようとする姿が印象的でした。
この日は21時30分に夕食をとり、23時に就寝しています。
3日目の午前中はホテル近くのスーパーマーケットに行きました。遠征ではいつも地元の店舗でお買い物をするのですが、これは日本と異なる文化を経験するのにすごく勉強になります。選手たちはユーロを円に計算しながら家族へのお土産を手に取り、ストアスタッフとジェスチャーを交えたコミュニケーションでお会計を済ませていました。
昼食後に移動して15時から第2回目となるクリニックが始まります。この日のテーマは「ボールの循環」。何のためにボールを動かすのか?ボールを動かすことで何が生まれるのか?選手たちはバルサコーチの指導を聞きながら実践します。トレーニングの終盤には見事なボール回しを見ることができました。
クリニック終了後は再びお買い物タイム。先ほどは家族へのお土産が中心でしたが、今回は自分たちのお土産です。訪れたのはバルセロナの大手スポーツストア「FOOTBALL MANIA」。ユニフォームからボール、シューズまで、ここにないサッカー用品はありません。選手たちは日本では展開されていない商品を手に取り大騒ぎしていました。
この日はカンプノウ訪問から始まりました。まず最初はバルサミュージアム。カンプノウに併設された施設で、クラブの栄光の歴史がこれでもかと展示されている博物館です。続いて今回はカンプノウのピッチに入ることもできました。メッシやスアレスなど憧れの選手がプレーする舞台に足を踏み入れた子供たちのなかには「鳥肌が立つ!」と叫ぶものも。そのあとはお隣にあるバルサストアに移動。サッカーストアには昨日も行きましたが、このバルサストアはFCバルセロナのオフィシャルグッズが中心のお店です。ここでも多くの子供たちがお土産を購入していました。
午後からはクリニックが始まります。第3回目のテーマに掲げられたのは「プレー中の前進」。このとき多くの選手たちが、昨日のテーマである「ボールの循環」が、このセッションに繋がることに気がつきました。何のためにボールを動かすのか?ボールを動かすことで何が生まれるのか?それは生まれたスペースに前進するためです。この日の選手たちの動きは、第1回目のクリニックから大きく成長していました。
クリニック終了後は再びトレーニングマッチが組まれています。前回のトレーニングマッチもそうですが、スペインのチームは戦術理解度やインテンシティが非常に高いため、いざ実戦となるとやはり選手たちは驚きを隠せません。それでも初日からの成長は著しく、選手たちも自分たちのレベルが上がっていることを自覚しているようでした。
午前中はこれまでのクリニックの内容を復習することと、昨日のトレーニングマッチでバルサコーチが気づいた改善点を説明する戦術講座に費やされました。みんな翻訳されるコーチの言葉に集中していて、真剣にノートを取る子供も多かったです。
午後からはこれが最後となる第4回目のクリニック。テーマは「フィニッシュ」です。優位な状況で前進したあとは、いかに時間をかけずにフィニッシュまで持っていくか。トレーニングでは多くのゴールを生み出すことができました。
クリニック終了後は世界遺産サグラダ・ファミリア観光へ。日本で大きなビルをたくさん見ている子供たちも、目の前にそびえ立つこの巨大建造物には圧倒されたようです。「これをどうやって作っているんだろう?」と、建築学的な疑問を持つ選手もいました。
今回の遠征の集大成ともいえるONE DAYカップの開催日です。地元強豪クラブを相手に戦う大会。すべてのチームが最高の結果を手にすることはできませんでしたが、この日までに学んだ「スペースを作る」「ボールを循環させる」「前進する」「フィニッシュ」が流れるように生まれていました。
ONE DAYカップ終了後は、もうひとつのメインイベントであるリーガ第25節FCバルセロナ対エイバルの観戦です。子供たちの応援が届いたのかバルサは5-0の大勝。エースのメッシが4得点を決めるという最高の試合でした。自分たちがクリニックで学んだことを高いレベルで実践するファーストチームを目の当たりにしたのです。これもまたかけがいの経験になりました。
帰国が近づくなか、この日の午前中は別ホテルに移動するための準備から始まりました。海外遠征で学ぶ大きなもののひとつに自己管理があります。ピッチ外での行動がすべてサッカーに結びつくわけではありませんが、自己管理ができる選手の多くが、やはりピッチでも結果を出しています。そういう意味で、自分の荷物やお土産などを管理して、しっかりとまとめることは重要です。これはFCバルセロナの下部組織も徹底しています。
午後はスペインの伝統料理パエリアを食べました。日本でも食べたことがあるかもしれませんが、やっぱり本場の味は違います。おなかを満たしたあとは近くのビーチでリフレッシュ。それぞれがまもなく離れるスペインを思い思いに過ごしていました。
ついに帰国日。選手たちはみんな「あっという間の遠征だった」と口にしていました。クリニックやトレーニングマッチ、カップ戦などサッカー面でも大きく成長しましたが、親元を離れての生活、異国人とのコミュニケーション、自分のことを自分でやるという経験は、日本では決して得られないものだったと思います。
今回みなさんのお世話をさせていただいたスタッフの一人を代表して、この経験を日本のお友達、チームメイトにもたくさん伝えて欲しいと思います。みなさんのこれからの成長に期待しています。
この遠征の目標のひとつは、現地で直接スペインのサッカー文化を感じることと、FCバルセロナが掲げる5つの価値観「謙虚さ」「努力」「野心」「敬意」「チームワーク」の本質を実体験することでした。すべての選手たちがしっかり学べたと思います。
一方で、どの遠征でも例外なく子供たちが直面する問題があります。それは言葉の壁です。それでも今回のメンバーには意欲的な選手が多く、通訳を介す前にコーチのジェスチャーだけで説明を想像しているシーンがたくさんあったのが印象的でした。
またトレーニングマッチやONE DAYカップでは、選手たちが自分たちで考え、相手選手の弱点や、それに効果的な自分たちのストロングポイントを意見交換するなど、自主的にコミュニケーションをはかる様子が多々ありました。前述の場面とあわせて、子供たちの学ぶ意欲と自主性には非常に感心しました。
キャンプのときとは比べ物にならないほど100%バルサを体験した子供たちですが、この10日間を「良い経験になった」で終わらせてはいけません。確かに多くのことを学んだと思いますが、この遠征中に自分に足りなかったものも知ったはずです。
それはプレーの正確さなど技術的なものだったかもしれないし、または戦術的なものだったかもしれません。ほとんどの選手は言葉の壁にも障害に感じたはずです。
もしかしたらピッチの外の要素に足りないものがあったかもしれません。そういうものをしっかりと理解したうえで、今後改善するためにどうすればいいのかを考えること。これが遠征で一番大切なことです。
成長したみなさんといつかまた会えることを楽しみにしています。